水の安全は世界的にどんな変遷をしてきたのか
更新日:2023年4月14日 金曜日 11:55
世界的に見て、大都市の浄水場は近代に入ってから発展し、大規模なものになってきました。その歴史は、19世紀に欧米で始まった公共衛生の向上によって、大都市における水道事業が整備されたことに始まります。
浄水場の発展は、水道事業が発展した背景にある公共衛生の向上と関係しています。18世紀から19世紀にかけての欧米では、公共衛生に対する関心が高まり、都市部においては公共の鉱泉浴場や洗濯場が設立されました。しかし、19世紀中頃には、水の供給源である河川や湖沼の汚染が深刻な問題となっていました。このため、水道事業の整備が急務となり、浄水場の建設が開始されました。
最初の浄水場は、19世紀半ばにイギリスで建設されました。当時、ロンドンでは汚染されたテムズ川から水を取水していましたが、1854年に発生したコレラの大流行により、水の汚染問題が深刻化しました。このため、1865年に、世界で初めての本格的な浄水場がロンドン郊外に建設されました。
その後、大都市においては、浄水場の建設が進み、世界的に見ても大都市の浄水場は、20世紀に入ってから急速に発展しました。特に、人口が急増したアメリカ合衆国や日本では、都市部における水道事業が急速に整備され、大規模な浄水場が建設されました。
しかし、21世紀に入ってからは、環境問題が深刻化する中、浄水場の役割が変化してきています。近年では、浄水場で処理された水を再利用する「中水利用」が注目されています。中水利用は、浄水場で処理された水を、公園の芝生の水やりやトイレの流水など、非飲料用途に利用することで、地球環境にやさしい水の利用を促進することができます。
近年では、都市化が進んだ地域において、浄水場が老朽化し、水質の問題や設備の劣化が問題視されるようになってきています。そのため、大都市を中心に、より効率的で高度な水処理技術の導入が求められるようになってきています。
また、地球温暖化に伴い、大雨や異常気象の頻発により、浄水場が被害を受けることもあります。そのため、防災的な観点から、より強靭な浄水場の整備が求められています。
さらに、水不足が深刻な問題となっている地域では、浄水場における水資源の有効活用も進められています。例えば、再生水の活用や、地下水の掘削を行うなど、水資源を有効に活用する取り組みが進められています。
総じて、大都市の浄水場は、世界中で水質の確保や地域の水需要に応える重要な施設として位置づけられています。技術の進歩に伴い、より高度な水処理技術の導入や、防災や水資源の有効活用に対する取り組みが求められ、今後もその役割はますます重要になっていくことが予想されます。